短歌日記

  • 僕たちの夏にケータイはなかった だからみんなで孤独に遊んだ

NHK眠れない夜はケータイ短歌、題詠「夏休み」で出品した歌。
携帯電話という情報機器は人のあり方を変えたのではないかと思う。個人と個人が繋がるようになった。そこに社会というものの存在の必然性が無くなった。いつでも何処でも個人と個人が繋がる世界。
僕の夏休み、小中高校の頃にはもちろん携帯なんて無かった。大学時代もポケベルが関の山だった。大学院時代さすがに携帯は持っていたものの、夏休みという物は有名無実と云ってよかった。まあ、大学時代は一人暮らしの人間がいくらか居たので、どちらかがアパートにに居れさえすれば連絡はとれたと云う状況だったのだが、皆で遊びに出るとなると、時間とか場所とか事前に決めて集まらざるを得なかった。
でも現在はどうか。待ち合わせなんてあってないようなもの。何時くらいに何処何処ら辺で集まろうとか、遊びの途中で他で何かしている人に電話してこっちに合流しろとかまさに自由自在。
まあ、小学生で携帯を持っている子どもがどれくらい居るかわからないが、僕の小学生時代の夏休みは適当な口約束で集まって遊んでいた。都合で遊んでいる途中に帰ったりすると、次に何処で遊ぶかがわからないけれども、友達の家に電話を掛けるのは憚られる。そして、翌日は皆が集まりそうな所を自転車で廻るのだった。別になんてこと無いことなんだけど、夏休みの殆どの日は友達と遊んでいたにもかかわらず、何故か何時も一期一会のような気がして、寂しかったことを憶えている。