エイプリル

この歌、最初は

  • 「かなしみ」を考えるとき忘れてた自分自身が持つ悲しみを

云いたいことは十分に伝わってる。でも枡野浩一的に云えば「あらすじ短歌」になるだろうし、穂村弘的に云えば「コップ型短歌」になってしまう。
それから以下のように推敲を進める。

  1. 「かなしみ」を考考えていた 忘れてた自分自身が持つ悲しみを
  2. 「かなしみ」を考えていた時だけは忘れることが出来た悲しみ
  3. 「かなしみ」を詠うその時だけはただ悲しいことを忘れられたよ

でもなんかぱっとしない。ので、四月最後の「かなしみ」の歌としてそこでしかわからない感じだけれども、ちょっとパンチを効かせようと思っての「エイプリル」。なんか、人に話しかけているみたいでしょう。
短歌の解説をするのは野暮なことだけど、この四月ずっと「かなしみ」について考えていて、それは自分の過去の「かなしみ」の経験・記憶を辿ったりするわけだけれども、それが即自分の感情に繋がるわけでは無くて、短歌と云う受け皿に移す感じで「かなしみ」を扱うことが出来たのだと思う。そして、「かなしみ」を扱うと云う作業は自分を自分の「かなしみ」から遠ざける効果があったようで、案外この四月は穏やかな気分で居ることが出来たと思う。