「ひとり4.1」ひとり足りない野球

枡野先生に選評頂いた歌を推敲しよう。下のは元の歌

  • 街へ行くあの子のいない放課後にひとり足りない野球をしてる

下の句はそのままが良いかな。メンバーが足りないと困ってしまって、かつ子どもがする遊びと云ったらこれしか思い浮かばない。サッカーなんて人数がいなくても大丈夫だし。かくれんぼ……「ひとり足りないかくれんぼする」案外良いかもしれないなあ……。
そこはともかく、まず上の句「街へ行くあの子のいない放課後に」の「いない」は「足りない」と意味的にかぶっている、また、文章としての意味が通りにくいとの須永女史からの指摘。確かにそうだ。直接的でなくて比喩的な表現にしたほうが良いかも。あと、文章とし

  • 下駄箱にあの子の靴がもうなくて ひとり足りない野球をしてる

なんだか限りなく嗅覚を刺激する歌になってしまった。臭いとかそういうのではなくて、下駄箱の独特のにおい、校庭のにおい、野球のグラブのにおい、放課後・夕方のにおい。たぶんある種嗅覚は記憶と強く結びついているような気がするので好ましいことのように思う。歌全体の意味が必ずしも「転校」と云う設定ではなくなってしまってちょっと怖い。それもまた良しと捕らえるか。どうでしょう、枡野先生。